台風8号、関東に再び上陸の恐れ 被害拡大、死者7人に

 台風8号は10日、鹿児島県に上陸後、和歌山県に再上陸し、日本の南沿岸を東に進んだ。11日朝には首都圏付近に再々上陸する恐れがある。東日本では1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るとして、気象庁は土砂災害や河川の増水への警戒を呼びかけている。

【動画】山形県南陽市で川が氾濫=内田光撮影

 台風8号は10日午後8時現在、三重県熊野市の東南東約30キロを時速40キロで東北東へ進んでいる。中心気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は25メートル。11日午後には本州の東海上で温帯低気圧に変わる見込みだ。

 ただ、11日午後6時までの24時間雨量は関東、東海250ミリ、北海道200ミリ、東北と北陸150ミリ、近畿100ミリと予想される。北海道では12日にかけて総雨量が300ミリに達する恐れもある。東海、関東では11日午前も最大風速23メートル以上の非常に強い風が吹くという。

 この影響で、東京湾フェリーは11日は欠航の見通し。茨城県と北海道を結ぶ商船三井フェリーは11日が全4便、12日も3便を欠航する予定だ。

 10日の24時間降水量は宮崎県えびの市で337・5ミリ、徳島県上勝町で303ミリ、新潟県佐渡市観測史上最多となる242ミリを記録。岐阜県本巣市では3時間に114・5ミリ、山形県小国町でも112ミリの集中豪雨となった。

 台風から遠い地域でも大雨が降ったのは、台風で南から暖かく湿った空気が大量に流れ込み、梅雨前線が活発化して積乱雲が発達したためだという。

 山形県では南陽市で住宅1棟が半壊し、長井市などで8棟が床上浸水。大雨で線路での冠水や土砂の流入が起き、山形新幹線32本が福島―山形間などで運休した。新潟市内では7棟が床下浸水し、152カ所で道路が冠水した。

 長野県南木曽町では、9日に発生した土石流で中学1年男子(12)が死亡。沖縄県宮古島では10日、男性2人が海で死亡した。周辺は台風8号が過ぎた後も風が強く、当時は波浪注意報が出ていた。朝日新聞のまとめでは、台風に絡む死者は7人となった。

 JR東海の柘植康英社長は10日、長野県南木曽町の土石流で橋桁が流されたJR中央線の復旧について、「少なくとも1カ月以上かかる」と述べ、バスで代替輸送する方針を示した。