「変態仮面」も! 懐かしの人気漫画の復活ラッシュのワケ

変態仮面が21年ぶりに復活

1992~93年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された漫画「究極!!変態仮面」が約21年ぶりに“復活”して注目を集めている。あんど慶周氏による「究極!!変態仮面」は、紅優高校拳法部に所属する高校生の色丞狂介が、下着を顔にかぶって“変態仮面”に変身することで普段は潜在されている超人的なパワーを発揮し、悪人たちを懲らしめていくというストーリー。その続編となる「HENTAI KAMEN EX」が、先月17日発売の隔月マンガ誌「画楽.mag」の2号で連載をスタート。第1話「ニセ変態仮面!」では、ニセモノの変態仮面が登場するストーリーが描かれている。

小栗旬が脚本に参加した映画版は好評

連載当時は人気を集めた「究極!!変態仮面」だが、何故21年の時を経て“復活”を果たしたのか? 「最近は漫画にしろ、アニメにしろ、ドラマにしろ、リメイクブームですからね。漫画誌に関して言えばインターネットの普及やゲームをはじめとする娯楽の多様化などもあり、以前ほどの売り上げを期待するのは厳しい状況です。無料コンテンツが増えている今の若い人たちは、お金を使うことにもシビアですからね。そうした中、かつて人気を集めた往年の作品を復活させることで、漫画から距離を置いていた30代以上の人たちを惹きつけて、再び読者にしようという動きが業界全体にあります。『変態仮面』に関しては、昨年公開した映画も成功するなど、それなりの実績もありますからね」(漫画誌編集者)。
 
究極!!変態仮面」といえば、昨年4月に俳優の鈴木亮平の主演で「HK 変態仮面」(福田雄一監督)として映画化され、原作のファンである小栗旬さんが脚本に参加したことも話題となった。作品自体の評価も高く、当初は全国12館での封切となったが、その後に反響の大きさから上演館数を増やして、公開から1ヵ月足らずで興行収入が1億円を突破する勢いを見せた。


北斗の拳キン肉マン聖闘士星矢も復活

そうした中、同じ「週刊少年ジャンプ」の人気作品でいえば、あの「北斗の拳」が連載終了から約25年の時を経て、昨年9月から新エピソードを収録した「北斗の拳 究極版」(徳間書店)として連載開始30周年を記念して刊行されており、最新刊となる17巻と18巻が今月19日に発売される。また、86年から90年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、アニメでもヒットした「聖闘士星矢」が、一昨年4月から今年3月までアニメでリメイクされ、今年6月には映画「聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY」も公開される。

■出版業界を取り巻く厳しい状況も影響

79~87年まで連載され、アニメも放送された「キン肉マン」も、11年11月から集英社の「週プレNEWS」で約24年ぶりに続編シリーズがWebコミック配信で連載されている。「漫画業界に勢いがあった頃の名作は今改めて読んでも魅力的な作品が多いですし、新規の作品と違って既存のファンがいる分、ある程度の売り上げが見込めますからね。我々にとっては非常にありがたいコンテンツです。とはいえ、過去の名作に頼り過ぎていてはマズいという意見もあります。本来なら多少のリスクを背負ってでも、業界の未来のために若い漫画家を育てたり、長期連載といったチャンスを与えたりしなくてはいけないのですが…。どこの出版社も経営状態は芳しくなく、昔ほど余裕がないのが実情です」(前出の漫画誌編集者)。

往年の名作漫画の復活ラッシュの裏には、過去の遺産にすがらざるを得ない出版業界の厳しい状況もあるようだ。