世界初「がん幹細胞」作製 iPS技術応用し神大と京大
世界で初めて人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作る際の技術を応用し、がん細胞を次々に生み出す「がん幹細胞」を人工的に作ることに成功したと、神戸大と京都大iPS細胞研究所などの研究グループが9日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。
がん幹細胞は、薬で死滅させたがん細胞を再び生み出し、がんを再発させたり転移させたりするほか、薬も効きにくい。がん細胞の「親玉」ともいわれ注目されているが、ヒトの体内からは微量しか採取できず、研究が進まない原因となっていた。大量の人工増殖が可能となり、がん幹細胞を標的とした新しい診断技術や治療薬の開発につながることが期待される。
iPS細胞は皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入して作る。
神戸大大学院医学研究科の青井貴之(たかし)特命教授と京大iPS細胞研究所の大嶋野歩(のぶ)研究員らのグループが、このうち「OCT3/4」「SOX2」「KLF4」という3遺伝子をヒトの大腸がん細胞に入れ、がん細胞を増殖させる培養液で10日間培養した結果、5%程度が大腸がん幹細胞に変化。大腸がん幹細胞をマウスに移植したところ、ヒトの大腸がんと同様の腫瘍ができた。遺伝子を入れたことで、がん細胞を若返らせた可能性があるという。
細胞核が染まるかどうかで大腸がん幹細胞だけを選ぶ方法も開発。青井特命教授は「今後、胃がんなど別のがんでも人工的にがん幹細胞を作れる技術を開発し、多くの患者に役立てたい」と話す。(金井恒幸)
惨敗セレソンを断罪…まるで追悼記事 1面が白黒のブラジル紙も
◇W杯準決勝 ブラジル1―7ドイツ(2014年7月8日 ベロオリゾンテ)
歴史的大敗をブラジルメディアは「ミネイランの惨劇(ミネイラッソ)」と表現した。「マラカナンの悲劇(マラカナッソ)」にちなんだものだが、スポーツ紙ランセは「マラカナッソなどもう何でもない。過去の話だ」と64年前を上回る同国史上最大の汚点と指摘。
【写真】ドイツ戦大敗の日、サンパウロの車庫で放火されたとみられるバス
フォーリャ・ジ・サンパウロ紙などは1面が追悼記事のように白黒で“ブラジルは死んだ”と言わんばかり。各紙とも「歴史的な恥」「恥、悲惨、屈辱」など糾弾する見出しが並び、エスタド・ジ・サンパウロ紙は「選手に泣く資格はない。泣きたいのはこっちだ」との記事を掲載した。
W杯=オランダ監督、切り札GKをPK戦で使えず「残念」
[サンパウロ 9日 ロイター] - サッカーのオランダ代表、ルイス・ファンハール監督は9日、2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会準決勝のアルゼンチン戦で、PK戦突入を見据えてGKティム・クルルの交代枠を残しておけなかったことが残念だったと述べた。
【写真で振り返る】アルゼンチン対オランダ
試合は延長で決着がつかず、オランダはPK合戦の末に2─4でアルゼンチンに敗れた。先発GKのヤスパー・シレセンはプロ選手としてPKを1回も止めたことがなく、この日もアルゼンチンで蹴った4選手全員に決められた。
クルルはPK戦に突入した準々決勝で延長の終盤に交代出場し、コスタリカのシュートを2本止めて勝利に貢献していた。しかしこの日はファンハール監督が延長前半にFWロビン・ファンペルシーをベンチに下げて最後の交代枠を使い切ってしまったため、PK戦でもシレセンに託すしかなかった。
ファンハール監督は試合後、GKを交代させるチャンスがあればそうしていたが、3つの交代枠を使い切っていたので出来なかったとコメント。「ファンペルシーは疲れ切っていたので交代は必要だと考えた。(代わって出場した)クラース・ヤン・フンテラールがゴールを決めてくれる期待があった」と説明した。
<ベネッセ流出情報>ジャストシステムが利用
通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)の顧客情報が大量に漏えいした問題で、通信教育事業を手掛けるソフトウエア会社「ジャストシステム」(徳島市)が、流出情報を利用してダイレクトメール(DM)を発送していたことが10日、複数の関係者への取材で分かった。ベネッセの顧客情報と知らずに東京都福生市の業者から名簿を購入したとみられる。
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◇名簿業者から購入か
関係者によると、ベネッセが顧客からの問い合わせ内容を精査したところ、流用情報を利用したDMはジャスト社から送られたものだった。マンション名の表記方法などの情報が、ベネッセに登録された内容と一致していたという。
福生市の名簿業者は、武蔵野市の業者から買った情報をジャスト社に売ったと認めたうえで「違法な手段は全く使っていないし、ベネッセの顧客情報という認識はなかった」と説明。入手する名簿には、一般的に住所▽氏名▽生年月日▽電話番号--などが掲載されているという。武蔵野市の業者は「他社から名簿を入手した。それ以上は答えられない」と語った。
ジャスト社は1979年創業。文字変換や辞書の技術を開発し、ワープロやパソコンに文字を入力するソフト「ATOK(エイトック)」や「一太郎」を生み出した。2012年から小学生向け通信教育「スマイルゼミ」を提供している。
ベネッセは9日、顧客の子どもの氏名や住所など約760万件の情報が流出したと発表した。流出は最大で約2070万件に上る可能性があるとしており、相談を受けた警視庁が不正競争防止法違反容疑で捜査している。【斎川瞳】